水文学と気象学
雪覇国家公園における河川の主な分水界は大霸尖山の南から大雪山の尾根と布秀蘭山から東に伸びる支脈(武陵四秀)であり、河川はこの「人」の字の形をした稜線と北西の山脈により4つの流域に分類されています。北東は淡水河源流の集水域、南東は大甲渓流域、西は大安渓流域、北西の隅の榛山と楽山の北側は、頭前渓支流の坪渓集水域に属しています。「森は水の故郷」であり、広々と生い茂る森の涵養によって台湾東部、北部、中部地域の飲用水の水源となっているため、高山の集水域における水源の涵養、水と土壌の保全が非常に重要となっています。
淡水河の源流である塔克金渓(泰崗渓)と薩克亜金渓(白石渓)は大霸尖山一帯に源を発しており、ほとんどは峡谷の地形であまり蛇行しておらず、典型的な上流の河谷となっています。
大甲渓は全長120km以上で、敷地内には七家湾渓、司界蘭渓、志楽渓、匹亜桑渓などの支流が順に流れ込み、台湾最大の渓谷が形成されています。河流の作用が盛んなため、山に囲まれた曲流、環流丘陵、佳陽の扇状地、河岸段丘、なだらかな肩状の山稜など豊かな地形や風景を見ることができます。
大安渓流域は雪霸国家公園の面積のほぼ半分を占めています。源流の馬達拉渓が蛇行して南西に下り、雪山渓、大雪渓、北坑渓に流れ込んで大安渓になり、その後、無名渓、南坑渓と合流して国立公園の敷地を離れます。中でも馬達拉渓は、タイヤル族による原名が「褐色の濁った水」を意味しており、川の中で赤褐色に染まった礫石を見て驚くことでしょう。
観霧地区の観霧瀑布、榛山瀑布、大鹿林道の東線瀑布と武陵地区の桃山瀑布(別名:煙声瀑布)には魅力的な水文学が見て取れます。中でも桃山の山腹にある桃山瀑布は落差約50mで、階状の岩壁に沿って2段階に流れ落ちるのが最大の特徴です。
台湾の高山には湖があまりありませんが、敷地内の雪山と翠池山の鞍部の近くには標高が最も高く、人々が誇りとしている「翠池(標高3,530m)」があります。その他、翠池の北西約700mの下翠池、志佳陽大山の南東の斜面の瓢箪池(別名:乳羊池)、武陵四秀の新達池、品田池などがあります。
広大な敷地面積を持つ雪霸国家公園の気候は、暖温帯、冷温帯、亜寒帯に及んでいます。気象分区においては、敷地内の北西の山岳地帯と中部西側の山岳地帯を2つの気候帯に分けることができます。北西の山岳地帯に属する大安渓流域、大漢渓上流を含む雪山の主尾根の北に位置するエリアは、主に南西モンスーンと台風による豪雨の影響を受け、年間降水量は約2,500mm以下となっています。雪山の主尾根の南、思源唖口の西に位置し、中部西側の山岳地帯に属する大甲渓流域の年間降水量は地形により大きく異なります。雪霸国家公園全体の年間降水量は平均約1,500mm~3,000mmで、5月~10月に降水量が多くなります。
雪霸国家公園の気候は山岳地帯の地形、稜脈の分布、渓谷の水蒸気の影響を受けやすく、四季の気候の変化が非常にはっきりとしています。春雨が降る初春や梅雨の時期になると、山岳地帯は霧雨が降ったり一日中霧で覆われたりします。夏は台風や対流性の驟雨が襲います。秋は高気圧に覆われて清々しくなりますが、大陸から冷たい気団が南下してくると気温が急激に下がり、早朝は霜で覆われ、時々雪が降ることもあります。極寒の冬は積雪により通行が困難になり、凍結や雪のために閉山されることも多いです。
山岳地帯の天気は日変化も大きく、夏に午前は晴れ渡っていても、午後になると雲や霧に覆われることが多く、降水確率は50%以上になります。夜は急激に冷え込み、特に3,000m以上のエリアでは気温が0℃前後になり、最も暖かい7月でも零下3.2℃の記録があります。